就労継続支援B型の事業所では、どのような仕事が行われているのでしょうか。
外から見ただけでは、日々の作業や、その仕事に向き合う人の表情まではなかなか分かりません。
今回ご紹介するのは、就労継続支援B型シャルールで取り組んでいる、室内での生キクラゲ栽培です。
写真には、栽培棚に並んだキクラゲへ、一つずつ丁寧に水分を与えている作業の様子が写っています。
栽培設備の中でキクラゲの状態を見ながら手を動かす姿からは、「育てる仕事」が毎日の小さな積み重ねで成り立っていることが伝わってきます。
この記事では、この一枚の写真から見える作業を入り口に、生キクラゲを育てる仕事の特徴と、シャルールが大切にする働く場についてお伝えします。
写真の中にある、毎日の仕事
写真の中央には、室内の栽培棚があり、棚にはキクラゲが育つ栽培ブロックが並んでいます。
作業をしている方は、手元の噴霧器を使いながら、棚ごとにキクラゲの様子を確認しています。
一見すると、水分を与えるシンプルな作業に見えるかもしれません。
しかし、育っているものを相手にする仕事では、ただ同じ動作を繰り返せばよいわけではありません。
キクラゲの大きさや広がり方はどうか。
表面の様子に変化はないか。
棚の上段と下段で違いはないか。
器具は安全に使える状態になっているか。
目の前の状態を見ながら、落ち着いて作業を進めることが大切です。
今回の写真で確認できるのは、水分を与えながら状態を見守る工程です。
栽培にはほかにもさまざまな工程がありますが、まずはこの日の一場面から、室内栽培の仕事に流れる丁寧な時間を感じていただければと思います。
室内栽培だからこそ、変化を丁寧に見る
生キクラゲは、袋から出した完成品だけを見ていると、どのように育つのか想像しにくい食材かもしれません。
栽培棚の中では、キクラゲが少しずつ形を広げていきます。
昨日と今日で大きく景色が変わらないように見えても、近くで見ると小さな変化があります。
その小さな変化に気づくためには、毎日の作業を急がず、よく見ることが必要です。
「いつもと同じように見える」という感覚だけで終わらせず、一つひとつの栽培ブロックへ目を向ける。
必要な作業を、決められた手順に沿って続ける。
分からないことや気になることがあれば、スタッフへ確認する。
こうした行動は、キクラゲ栽培だけに限らない、仕事の基本にもつながります。
室内で行う作業は、天候の影響を直接受けにくい一方で、栽培する環境を整え、日々の状態を見守ることが欠かせません。
目の前の変化と向き合いながら、自分の担当する作業を積み重ねていくことが、育てる仕事の土台になります。
「育てる仕事」が生む、分かりやすい手応え
ものづくりや栽培の仕事には、自分の手を動かした先に、変化を確認できる良さがあります。
水分を与える。
状態を見る。
必要なことをスタッフと共有する。
そして、次の作業へつなげる。
一つの工程だけでは小さく見えても、それが続くことでキクラゲの成長を支える力になります。
自分が行った作業と、その後に起きる変化がつながっていると、「今日ここまでできた」「次も続けてみよう」という手応えを持ちやすくなります。
もちろん、毎日が同じ調子とは限りません。
集中しやすい日もあれば、少しゆっくり取り組みたい日もあります。
その日の状態を確かめながら、無理のない形で作業へ参加できることも、安心して働き続けるためには大切です。
仕事の価値は、速さや量だけで決まるものではありません。
決められた場所へ通うこと。
道具を準備すること。
説明を聞いて作業を始めること。
途中で確認すること。
最後まで終えて片づけること。
その一つひとつが、働く力につながる大切な経験です。
一人で完結しない、チームの仕事
栽培の仕事は、一人だけで完結するものではありません。
同じ場所で作業する人がいて、手順を伝えるスタッフがいて、前の工程と次の工程があります。
自分の担当を丁寧に進めることが、ほかの誰かの仕事につながっていきます。
写真のように棚が複数ある環境では、「どこまで作業したか」「気になる変化があったか」といった情報を共有することも大切になります。
声に出して伝えることが得意な人もいれば、確認してから話したい人もいます。
最初から一人で全部できることを目指すのではなく、必要なときに相談し、スタッフと一緒に手順を確かめながら進める。
その積み重ねによって、自分に合う作業の進め方や、落ち着いて取り組めるペースが少しずつ見えてきます。
就労の場は、作業をこなすだけの場所ではありません。
あいさつをする。
説明を聞く。
困ったときに声をかける。
相手の作業を待つ。
終わったことを伝える。
こうした人との関わりも、毎日の仕事の中で育っていく大切な力です。
小さな変化を見つける力を大切に
生きものを育てる仕事には、予定どおりにいかない場面もあります。
だからこそ、変化を見つけたときに無理に自分だけで判断せず、スタッフへ伝えられる環境が必要です。
「いつもと少し違う気がする」
「この場所は作業を終えたか確認したい」
「道具の使い方をもう一度聞きたい」
こうした言葉を出せることは、弱さではありません。
安全に、丁寧に、仕事を続けるための大切な行動です。
シャルールでは、利用者さん一人ひとりが同じ速さ、同じ方法で作業することだけを求めるのではなく、それぞれの状態に合わせて作業へ参加できる場をつくることを大切にしています。
得意なことは人によって違います。
手を動かすことが得意な人。
変化を見つけることが得意な人。
決められた手順を繰り返すと落ち着く人。
周りと声をかけ合うことで力を発揮できる人。
キクラゲ栽培という一つの仕事の中にも、自分らしい関わり方を見つける入り口があります。
幅広い仕事の中に加わる、栽培という選択肢
シャルールでは、これまでもデータ入力や動画編集などのパソコン作業、アクセサリー製作、アパレル商品の販売補助、食材の配達、建物の清掃や点検、軽作業など、さまざまな仕事を用意してきました。
机に向かって集中する作業が好きな人。
手先を使って形にすることが好きな人。
体を動かす仕事のほうが取り組みやすい人。
一人で落ち着いて進めたい人。
周りと声をかけ合いながら働きたい人。
得意なことや落ち着く環境は、一人ひとり違います。
仕事の種類が複数あることは、「できる・できない」だけで判断するのではなく、自分に合う入口を探すための選択肢につながります。
室内生キクラゲ栽培も、そうした選択肢の一つです。
栽培棚の前で状態を見ながら手を動かす仕事には、パソコン作業やアクセサリー作りとは異なる感覚があります。
画面の中や机の上だけではなく、少しずつ形が変わるものと向き合う。
その日に行った作業が、次の日の状態へつながっていく。
毎日同じように見える工程の中に、小さな発見があります。
「前より大きくなっている」「形が広がっている」と気づくことは、作業を続ける楽しみや、次の仕事への関心にもつながります。
新しい仕事が加わることで、これまでとは違う得意に気づく人もいるかもしれません。
最初から向いているかどうかを決めるのではなく、説明を聞き、少しずつ試し、自分に合う関わり方を探していくことが大切です。
シャルールの公式サイトでは、仕事の種類や一日の流れ、見学・体験について紹介しています。
公式サイト
シャルール公式サイトで仕事の内容を見る
仕事内容・一日の流れ・見学案内を確認できます。
働くことと、地域の暮らしをつなぐために
ぬくもりの泉が大切にしているのは、生活の場と働く場が、地域の中で無理なくつながっていることです。
安心して暮らせる場所があり、日中に通える場所があり、自分の役割を感じられる仕事がある。
そのつながりが、毎日の生活にリズムをつくります。
室内生キクラゲ栽培の写真は、特別な一日を切り取ったものではありません。
棚の前に立ち、今日の状態を見て、必要な作業を行う。
その当たり前に見える時間の中に、働く経験が積み重なっています。
福祉の仕事を考えるとき、制度や設備だけでなく、「そこでどのような一日が流れているのか」を見ることが大切です。
利用者さんが安心して作業に向かえるか。
スタッフへ相談できるか。
小さな達成を次の日へつなげられるか。
シャルールの取り組みを通じて、働く場とは、成果を出すためだけの場所ではなく、人が自分のペースを確かめながら社会とつながる場所でもあることを伝えていきたいと考えています。
実際の取り組みを見てみませんか
写真だけでは、栽培スペースの空気や、作業の進め方、スタッフとの関わりまですべてをお伝えすることはできません。
ぬくもりの泉では、グループホーム、就労継続支援B型シャルール、地域の医療や働く場がどのようにつながっているのかを知っていただくため、施設見学のご相談を受け付けています。
福祉事業への参入を検討している方。
地域に新しい働く場をつくりたい方。
生活と就労をつなぐ運営について、実際の現場から学びたい方。
まだ計画が具体的になっていない段階でも大丈夫です。
まずは写真の向こうにある日々の仕事を、現場で感じてみてください。
施設見学や取り組みについて知りたい方は、施設見学ページまたはお問い合わせページからお気軽にご相談ください。
